「脱出記 -シベリアからインドまで歩いた男たち」
- 作者: スラヴォミールラウイッツ,Slavomir Rawicz,海津正彦
- 出版社/メーカー: ソニーマガジンズ
- 発売日: 2005/09
- メディア: 単行本
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似た作品に、ドイツ人将校がシベリアの収容所から脱出し徒歩で故郷を目指した「我が足を信じて」(1955年)があります。こちらは15カ国語に翻訳され、2001年に映画化されています(「9000マイルの約束」ドイツ)。やはり実話とされています。
「脱出記」は、作者が無実の罪で25年の強制労働を課せられ、シベリア奥地の収容所に到着するまでの前半と、6人の仲間とともにそこから脱出し、インドに辿り着くまでの後半から成ります。苛酷なストーリーにもかかわらず、人情味あふれたエピソードが多く印象に残りました。
ところが、読了後、彼らの後日談が気になって調べてみたところ、本当に実話だったのかどうか疑いが出ていることを知りました。
はじめはイエティ目撃談や、砂漠で2週間水を飲まず歩き続けたエピソードなどが疑問視されたようです。その後、軍の記録が作品の内容と矛盾することも指摘されました。
いずれにせよ、作者は2004年に亡くなっていて、もう確かめようもありません。
ことの真相を突き止めようとして10年間も調査を続けたファンがいたという事実には、感銘を受けました。アメリカの研究者で旅行家のリンダ・ウィリス(Linda Willis)氏です。その内容は既に本になっています。次の記事で紹介します。