「我が父サリンジャー」
- 作者: マーガレット・A.サリンジャー,Margaret A. Salinger,亀井よし子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/04
- メディア: 単行本
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娘から見たサリンジャー氏の人物像が新鮮でした。彼の女性に対する視線は人一倍複雑で、関わった女性に多大なプレッシャーをかけていたにもかかわらず、その反面、不思議な魅力があったようです。
(「ライ麦畑〜」に登場するサリー・ヘイズや、「バナナフィッシュ〜」のミュリエルのように、彼のプレッシャーをものともしない女性と結婚していれば、どんな人生になっていたでしょう…。それが不可能だったので、シーモアの物語が書かれたのでしょうか。)
ただ、彼らの家庭は、いわゆる"機能不全家族"だと思いました。両親が常に緊張関係にあり、母親はそのストレスから子供達に体罰を加えたり、離婚後は男性遍歴を繰り返すなど、子供にとって難しい環境だったようです。そういう家庭で育った子供の手記としても読める本だと感じました。
作者が12歳の頃お洒落に目覚めて、脚にピースマークをペイントしたときに、サリンジャー氏が恐ろしいほど取り乱したというエピソードが、印象的でした。父親らしく、微笑ましく感じられるのと同時に、彼の女性の脚に対する特別な思いも垣間見えるような気がしました。