陽だまり日記

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陽だまり日記

大好きな本や映画のことなど

「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)

日本にはアメリカン・スクールがありますが、同じように、旧ソ連の衛星国には当時ソビエト学校があって、駐在員の子女などが通っていたそうです。
この作品は、1950年生まれの作者が、小3から中2にかけてプラハソビエト学校に通っていた頃のエピソードと、大人になった彼女がベルリンの壁の崩壊後、旧友を訪ねて回る後日談から構成されています。

言葉が全く通じない環境での心細さ、多国籍なクラスでは誰もが愛国者になってしまう話、東洋人の風貌をからかわれるという西欧社会でのお約束…海外でのこういう経験は、時代や環境が違っても変わらないようです。
主人公マリの親友は、ギリシャ人のリッツァ、ルーマニア人のアーニャ(後に複雑な出自だったことが分かります)、ユーゴスラビア人のヤスミンカ。4人の共通点は、それぞれが何となく感じていた疎外感だったような気がしました。言葉がなかなか通じない、外見も全く違うという環境では、不思議と同じような思いを持った友達ができるものなのかもしれません。

驚かされたのは、ソビエト学校の教育方針です。日本と正反対のようなことが沢山あります。教科書が読み物として面白い、試験は記述式や口頭試問で日本のような選択問題はない、休日に宿題が一切出ない、小学生から文学作品を抜粋版でなく原版で読む、など。ソビエト学校は、ある種のエリート学校だったので教育が充実していたのかもしれませんが、いずれにせよ私がこれまでなんとなく持っていた学校や教育のイメージはローカルなものだったと気付かされました。

大人になった米原万里さんが、昔の友達を探して訪ねる場面は、少し探偵小説のようでした。単純な人探しということだけでなく、大人の目で、当時の子供達がそれぞれ持っていた背景を見直して解説するところが、興味深かったです。