陽だまり日記

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大好きな本や映画のことなど

「琴のそら音」

夏目漱石「琴のそら音」(青空文庫)

友人と話しているうちに、インフルエンザに罹った婚約者の病状が急に不安になり、そのためにいろいろな身の回りの出来事が何となく不吉に思えて眠れない一夜を過ごす…という話です。
明治の学士さんの雰囲気や当時の生活の様子が活写されています。丁度4月はじめの桜が咲き始めた頃の話なので、今の季節にも合っていました。
"不安つながり"で芥川龍之介「歯車」と比較するために読んでみましたが、本作の読後感は爽やかでした。一番の理由は「琴のそら音」の主人公には孤独感がないことだと思います。