陽だまり日記

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大好きな本や映画のことなど

「夜長姫と耳男」

坂口安吾「夜長姫と耳男」(青空文庫)

「桜の森の〜」の美しく恐ろしい女房は『鬼』でしたが、こちらの夜長姫は、残酷な神のように感じました。彼女の無邪気な残酷さは、アイヌの昔話「風の神とオキクルミ」に登場する風の神ピカタカムイに似ています。この神様もなぜか女神です。

また、夜長姫が、高楼の上から人々が亡くなるのを見ている姿は、エッセイ「桜の花ざかり」に書かれている桜とも、イメージが重なります。

夜長姫は、桜の神さまを擬人化したのかも…と、思いながら読みました。

ところで、日本では桜がとても大切にされていて、今もそれは変わっていません。
日本に住む人々が大昔から培ってきた自然信仰のなかで、今も一番人々に身近なのは、桜の神さまなのかもしれません。

坂口安吾「明日は天気になれ」(青空文庫)…エッセイ「桜の花ざかり」収録
坂口安吾「文学のふるさと」(青空文庫)