「端午節」
- 作者: 魯迅,竹内好
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1981/02
- メディア: 文庫
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『大差ない』(井上紅梅訳)、『似たり寄ったり』(竹内好訳)。本作の主人公の人生訓です。どういうことなのか、具体例を、文中から引用します。
兵隊が車夫を擲(なぐ)ると以前はむっとしたが、もしこの車夫が兵隊になり、兵隊が車夫になったら大概こんなもんだろうと、そう思うともう何の気掛りもなかった。(井上紅梅訳)
人の振舞いは立場によって作られるもの、という指摘だと思いますが…、私も、主人公同様、この言葉に取りつかれてしまったかもしれません。ふとした拍子に思い浮かびます。
『似たり寄ったり』のことを考えていたら、映画「es」を思い出しました。この映画は、男達が、囚人役と看守役にわかれて、役を演じ続けるとどうなるか…という、実際に行われた心理実験がもとになっています。
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2004/03/03
- メディア: DVD
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上の説が、ハンナ・アーレント氏の「イェルサレムのアイヒマン」で初めて提唱されたときは、かなり物議を醸したそうです。でも、ナチス台頭のずっと前に、魯迅が言及していたのですね。
- 作者: ハンナ・アーレント,大久保和郎
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1969/02/20
- メディア: 単行本
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