陽だまり日記

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陽だまり日記

大好きな本や映画のことなど

「じゃりン子チエ」

テレビ

このアニメは、原作に忠実なうえ、絵が動き、声が入ることでリアルさが増して、原作よりも見やすく面白くなっているところが、奇跡的な作品だと思います。映画版と、アニメ版の第1期を高畑勲氏が手掛けたことでも有名です。
子どもの頃見たのと、今見るのとでは、味わいも違います。人物たちの心の機微が丁寧に繊細に描かれているので本当に驚き、漫画を全巻読み返したくなりました。
印象的なストーリーは沢山あります。
例えば、チエ(主人公)が、テツ(父)とヨシ江(母)がデートするのを、面白半分に花井センセ(テツの恩師で仲人)と覗いた後で、家に帰って何事もなかったかのようにヨシ江と嘘八百の話をする回。実の親子でも、こんなふうに上手に心の距離を取れるのは、もちろんこれが漫画ということもありますが、地域の文化のようにも感じます。ちょっと羨ましいくらいです。
それから、チエが遺伝の心配をする回は、改めて見ると重い話でした。テツに似て、どうしようもない大人になってしまうかも…と、悩み、思いあまって花井センセに相談に行きますが、センセも上手に説明できません。えんど豆の話(メンデルの…)を試みますが、あれは子供には分かりにくいですよね。そんな大人と子供の感覚の違いも、リアルだなぁと思いました。

ヨシ江は、作品開始当初はテツに愛想を尽かして家出し、一人暮らしをしています。母親が家出し、父親のテツが働かないので、小学生のチエが1人でホルモン焼屋を営業しています。それでも、ヨシ江を恨んだりしないで、淡々とやっています。今の感覚だと、親子の関係というより、大人同士の関係に近いと思うくらいです。昔はこんなふうだったのでしょうか。

ところで、ヨシ江や菊(おバァ)は、チエに半分敬語で話しますが、大阪では一般的なのでしょうか?たとえばこんな風に…

ひもじい、寒い、もお死にたい。不幸はこの順番で来ますのや。(単行本5巻)

因みにこれは、おバァの一番の名台詞だと思います!バクチ狂いのテツが刑務所の厄介になることを心配して、食べ物が喉を通らなくなってしまうチエを、おバァが励ますシーンで出てきます。チエは小学5年生、11歳。…ホントに年をとるほど、シビアな作品だなぁと思います…。この事件のあと、チエが慌てて、テツがバクチ大会に参加した証拠品の狐の面を燃やす場面も、今思うと切ないです。