陽だまり日記

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陽だまり日記

大好きな本や映画のことなど

「パイオニア」(2013、ノルウェー)

パイオニア [DVD]

パイオニア [DVD]

ノルウェー映画「パイオニア」は、1980年代にノルウェーとアメリカが共同で進めていた、石油パイプライン敷設作業中に起きた死亡事故をめぐるミステリーです。実話に基づいているそうです。
全体的なトーンは暗めですが、ノンフィクションの迫力があり、最後まで惹き込まれてしまいました。

ノルウェー近海で石油が見つかって、これを売り出し「世界一豊かな国」になるために、ノルウェーは国策として採掘事業を進めようとします。そこに、利権を狙うアメリカの民間企業が参入し、両者は、表向きの協力関係の裏で壮絶な主導権争いを繰り広げます。これが事故の背景です。
主人公は、ノルウェー人ダイバーのペッターです。共に作業していた兄クヌートを事故で亡くしたうえ、その責任を負わされそうになって、事故の本当の原因を突き止めようとします。
(でも、これは大変なことです。大きな権力が、莫大なお金と結びついて進行しているプロジェクトのスキャンダルに、何の後ろ盾もない個人が深く関わったらどうなるのか…、多くの場合、待っているのは悲劇です。)
ペッターは、数々の妨害にもめげず1人で調べを進め、ついにアメリカ側が作成した深海用のガスに怪しい混ぜ物がしてあったという事実に辿り着きます。

ところが問題はアメリカ製のガスだけではありませんでした。ノルウェー側にも落ち度があったのです。
真実を知ったペッターはアメリカとノルウェーの双方に殺されそうになりますが、何とか九死に一生を得ます。
ラストでは、自分と亡くなった兄の家族の、安全と生活の保障のために、国と取引きします。事故の原因は有耶無耶です。アメリカの混ぜ物がいけなかったのか、ノルウェーのオペレーションがまずかったのか、或いはその両方なのか…。欧州で依然係争中というテロップが出て映画は終わります。

もっとも悲惨なのは貧困…という信念が、人類がこれまでの歴史で掴んだ真実なのでしょうか。こんな話が、映画になっただけでもマシなのかもしれません。