「告白」
- 作者: 町田康
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2008/02
- メディア: 文庫
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主人公の城戸熊太郎が、十人を惨殺してしまうに至った経緯が、細かく描写されています。
熊太郎が、自分と世間のギャップを埋めるために、頭のなかで一生懸命考えているうち、いつの間にか論理が飛躍して、とんでもないことになってしまうのが、何だかリアルに感じられて怖かったです。
何をもとに、作者が熊太郎をそのような人物として描いたのか、気になりました。
熊太郎は、内と外との折り合いがつかず破滅してしまったのに、結果的に世間に支持されたのは、皮肉です。引き返せる地点は、なかったのでしょうか…。
人間は、過度のストレスがかかると、普段、「絶対にやってはいけない」と思っていることを、逆に、「絶対にしなければならない」と勘違い?してしまうことがあるのかもしれません。それが、内に向けば自殺してしまうし、外に向けば大惨事になってしまうのだと思いました。
でも、それが、本当に勘違いなのか、そうでないのか…、熊太郎の場合でも、世間に支持されたのですから、何とも言えないところがあります。(この問題がしばしば映画になるのはそのためかもしれません。)