陽だまり日記

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陽だまり日記

大好きな本や映画のことなど

「イギリス人アナリストだからわかった日本の強み、弱み」

勤勉、器用、技術大国、高度成長、おもてなし文化、マナーが良い、四季がある、海外の文化を取り入れるのが上手…etc、多くの日本人が信じている日本の「強み」に一石を投じています。

著者は元・大手証券会社のアナリスト、現・小西美術工藝社長のDavid Atkinson氏。日本在住25年とのことで、口語体で読みやすい日本語で書かれており、とても面白かったです。

日本の職場は会議が長い、事務処理が煩雑、トップに近づくほど「woolly thinking」で、物事を突き詰めて考えることを好まない人が増える、など、若い人が共感しそうな指摘が沢山ありました。

また、最近、"日本は凄い" というTV番組が増えていますが、本書では、日本と外国を比較して日本を持ち上げる論調に強い疑問を呈しています。私も違和感を感じることがありますが、日本人同士では批判しづらい空気があり、ちょっぴりモヤモヤしていたので、本書を読んで少し胸のつかえがとれたような気がしました。

因みに、日本人が日本人を褒める風潮は、今に限ったことではなく、1939年(昭和14年)頃にもあったことが、記録されています。青空文庫で公開されている岸田國士氏の著作の中で触れられています(下記)。

日本人が日本人に向つて日本のことを褒めて話すといふ風潮が近頃目立つやうであるが、これは現在の日本に於いてはたしかにその必要があるからだと思ふけれども、そこにちよつと微妙な呼吸があつて、それほど変でないものと、妙にくすぐつたい、もうやめてくれと云ひたくなるやうなものとがある。

引用元:岸田國士「或る風潮について」1939年2月(青空文庫)

当時は日中戦争のさなかで、太平洋戦争開戦の約3年前です。1940年に予定されていた東京五輪は1938年に中止が決定されていました。

この頃、日本の「強み」と言われていたのは、同じ文章によれば、戦争に強いことや、日本画の芸術性が高いこと。今と同じように、西洋と比較しています。

アトキンソン氏によれば、こうした比較は海外ではほとんど行われないと言います。理由は公正な比較が非常に難しく、興味を持つ人も少ないからだそうです。

日本人独特の考え方なのかもしれません。

戦争に強いどころか太平洋戦争では大敗を喫してしまったことを考えると、ちょっと危険な感じのする考え方でもあります…。