陽だまり日記

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陽だまり日記

大好きな本や映画のことなど

「僕はあいつと、なんにも関係がない。だけど、戦争になっちゃうと殺し合わなきゃなんない、って変だなぁ…」

風の谷のナウシカ」の再放送で、アスベルがナウシカの乗っている飛行機を撃つ場面をみていて、そういえば私の大好きな、小澤俊夫さんのラジオ「昔話へのご招待」で、戦時中に空襲してきた米兵が地上から見えた、という小沢氏ご本人の体験談があったような…と思い、ちょっと探して書き起こしてみました。

それで僕たち、立川にいたんですけど、立川は陸軍航空基地があったもんですから、いつも爆撃されたのね。で、あるときそのグラマンの飛行機がですね、低空でバーッと撃ってきたことがあるんです。僕たち防空壕に隠れたんだけども、脇をダーッと飛行機が、もう本当に超低空で撃ってって。うちの隣に畑があったんだけど、そこに土煙が立ってね。もう僕ら、やられたと思ったよ、その時は。で、その時にね、そのグラマンがフワーッと飛んで行くときに、ハッと姿が見えたのね。飛行士、パイロットの。そのとき僕、一瞬思ったのね。僕はあいつと何にも関係がない。僕にとってあいつは敵じゃないはずの普通の人間で、あいつも僕に対して……、敵じゃないはずだ。だけど戦争になっちゃうと殺し合わなきゃなんないって、変だなあと思ったことがあった。中学3年だったけどね。でも思っちゃいけないんです、そのときは。そう。戦争のときは、そんなこと思っちゃいけないと、自分で打ち消しましたけどね、それは。でも後で考えたらそれが本当の感覚だよね。関係ないんだもん。ですけど戦争ということが起きちゃうと、もう、そういう人間の個人的な感情っていうのは一切封印して、とにかく殺せというふうになるんですよね。戦争の不条理っていうんでしょうけどね。だから、戦争なんか、絶対起こしちゃいけないっていうふうに僕は思うのね。絶対起こしちゃいけない。

小澤俊夫「昔話へのご招待」2010年12月8日放送 第71話より)

 小澤俊夫さんは昔話・伝説の研究者として大変有名な方です。Wikipediaによれば1930年生まれ。

上で引用したラジオの第70回・第71回で、小さい頃北京に住んでいて傷痍軍人の慰問に行ったり、内地に戻ってからは学徒動員で110kgの火薬が入った木箱を運んでいた話など詳しく語られているので興味のある方には是非聴いて頂きたいと思います。