陽だまり日記

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大好きな本や映画のことなど

「きみはいい子」「世界の果てのこどもたち」

 中脇初枝さんの「きみはいい子」と「世界の果てのこどもたち」を読みました。

([な]9-1) きみはいい子 (ポプラ文庫)

([な]9-1) きみはいい子 (ポプラ文庫)

 
世界の果てのこどもたち

世界の果てのこどもたち

 

中脇初枝さんが「魚のように」でデビューされたときのことは、鮮烈でよく覚えています。確かTVドラマにもなって、それを見た記憶があります。

なので、「きみはいい子」は随分前から気になっていましたが、何となく読む機会を逃していました。最近、中脇さんご自身がラジオ「昔話へのご招待」で小澤先生と対談されて、作品の話題が出てきたので、そういえば…と手に取りました。

小澤先生が何度も言われたように、どちらも本当に素晴らしくて、引き込まれて一気に読んでしまいました。

具体的にどこが素晴らしいかうまく言葉が見つかりませんが、昔話と同じように、使っている言葉は平易で、読みやすく、映画を見ているように自然に物語の中に入れる感じがします。小説の内容は、社会の暗い面を描いていてシビアではありますが、語り口が淡々としていて、さりげなく「神様は扉を閉めるとき窓を開ける」みたいなことが描かれているので、目をそむけたくなるようなことにも時には向き合っていかなければという、勇気をもらえます。

「きみはいい子」は現代もので、新興住宅地で起きる学級崩壊、いじめ、子どもへの暴力、介護等の諸問題をオムニバス形式で描いた作品。「世界の果てのこどもたち」は太平洋戦争中の、中国残留日本人孤児、在日朝鮮人戦災孤児等を描いた作品です。

同じ作者の、他の作品も読んでみたくなりました。