陽だまり日記

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大好きな本や映画のことなど

「朱欒」「ざぼん」について

2つ前の記事で、江戸時代に書かれた「阿波志」・「阿波誌」の、柑橘類に関する記事を引用しました。

ざぼん 郷名ケムス又の名サブム、橙に似て大

 即ち仏手柑

宜母子 郷名スダチ、柚に似て小、以て酢に代るべし

橙 郷名ダイダイ

橘 郷名カウジ やや小なるもの和名タチバナ、最小にして黄のものを金柑と呼ぶ 越志に所謂金棗、恐らく是(越は支那の国名)

邏柚 郷名ハナユ

(「阿波誌」、「阿波志」の名東郡の項より 表記を一部改変して引用)

よく分からないところが幾つかあります。一番上の「郷名ケムス」について1つ前の記事に書きました。

さて、一番上の「ざぼん」は、「阿波誌」には平仮名でそう書いてありますが、元の「阿波志」には「朱欒」と漢字で表記されています。

朱欒は、日本語読みで「シュラン」、中国語読みでは「ヂュ ルゥァン」と読むそうです。欒は団欒の欒で、丸いという意味なんですって。一方、ざぼんというのはポルトガル語のzamboaが由来なのだとか。つまり、中国語表記をポルトガル語で読ませているということ。

なぜそんなふうになったのでしょう? ちょっと不思議です。

果物の実物はポルトガルから入ってきて、「これが舶来のザボンというものらしいよ」「よし育ててみよう」なんて、国中に広まった後で、学者さんが中国の図鑑を探して、「おお、これは中国の図鑑にある朱欒だ」と気が付いたとか、そんなことでしょうか。

 

「文旦」というのも中国語のようですが、中国の人は朱欒と文旦をどう区別していたのでしょう。今では全て1つの同じ果物Citrus maximaを指すようです。