陽だまり日記

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大好きな本や映画のことなど

「ざぼん」「謝文旦」について

1つ前の記事に書きましたが、朱欒(ざぼん)と文旦は1つの同じ果物Citrus maximaを指します。

朱欒は中国語、ざぼんはポルトガル語(zamboa)。

文旦も中国語ですが、wikipediaによれば、中国の中でも南部の潮州語が伝わったもののようです。発音はブンタンまたはボンタン。今の台湾語でもそのように発音するようで、確かにどちらにも聞こえます

さて、上のwikipediaにあるように、日本には、中国の「謝文旦」という人が鹿児島に漂着した折にブンタンを伝えたという伝説があります。謝文旦は当時の潮州語読みでジアブンタン。一説によれば、謝文旦の名前から、日本では中が赤いのをジアブン(ざぼん)、白いのをブンタンというようになったとも。

これ、初めて見たときは、「またまた、うまいこと言っちゃって~」と思いました。文旦・文旦柚という言葉は台湾や中国に今でもあるといいますし、それなら、文旦という植物名が先にあって、「謝」は後からとってつけたんじゃない?なんて。

でも、それにしては上半分を取るとざぼんになるなんて、ずいぶんな偶然の一致です。

 

ここからは私の想像ですが、もしかしたら、ポルトガル語のzamboaが、もともとセイロン語のjamboleからきているように、謝文旦も原産地(付近)から音を写した呼び方だったのかもしれません。

例えばバングラデシュでは「jambura」というようです。これなんて、謝文旦に結構近いような気がします。

だとすると、現地では忘れられた古い名前が日本に伝説として残ったということになります。そうだったらすごいし、面白いなぁと思いました。

中「これはわが国の謝文旦、ジアボンタンっていう果物です。おいしいよ」

日「じ、ジアボ……?」(漢字でメモを取りつつ)

中「ジアボンタン、ボンタン。」

日「なるほど、ボンタン、ボンタン。」

みたいなやりとりを想像してしまいました。

ちなみに、「旦」の当時の意味は"役者"だったそうで、中国でも、文旦を人名とした伝説があるみたいです。謝文旦というのがたまたま人名っぽく見える字面だったから、親しみやすく言いやすい(?)ファーストネームの部分だけが残ったのかも?なんて、さらに想像してしまいました。

それに、もしそういうことだったのなら、中国に同じフルーツを指す2つの言葉、朱欒と文旦があった理由も納得できます。1つは中国で付けられた名前で、もう1つは外来語だったという。野球とベースボールみたいな。

何か個人的にかなりスッキリしたので、私の中ではもうこのmy説でいいかなと思いました……