陽だまり日記

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大好きな本や映画のことなど

桃太郎のこと

ラジオ「昔話へのご招待」で、かなり前に「桃太郎」が取りあげられたことがあります。桃太郎の解釈の歴史や、外国の昔話との比較など、とても面白くて、特に印象に残っています。

この中で、柳田国男さんの「桃太郎の誕生」についても触れられていました。その部分の小澤先生の解説を引用します。

柳田先生、こういうふうに言ってらっしゃるんですね。

桃太郎のあの桃は、川上から流れてきたと。で、日本の川の川上って、みんな山であると。山から流れてきてる。山から流れてくるっていうのは日本独特なんですけど。

(中略)

すると、その山の上っていうのは、日本の信仰では神様がいる場所であると。天孫降臨っていいますからね。山の上に神様降りてきたと。

だもんで、その山の上から流れてきた桃。そこに、中にいた子供は神の子であると、神から授けられた子であると、こういうお考えだったんですね。

 (ラジオ「小澤俊夫 昔話へのご招待」2011/10/21放送より)

最近ふと思い出したのですが、山に神様がいて、川を伝って人里に下りてくるという考え方は、「アマテラスの誕生」という本に紹介されていた、日本の古い信仰だったような…。同書の著者は、神主でもある筑紫申真さんという方です。

「桃太郎の誕生」は、そういう知識(常識?)を前提に書かれた論文だったのでしょうか。

小澤先生は、桃太郎の桃は、神聖な山の上から神の子を乗せてきたというよりは、中国の道教で不老長寿の果物として神聖視されていた桃が日本に入ってきたというお考えのようです。桃太郎のバリエーションで、おばあさんが桃を食べたら若返って桃太郎が生まれたという話もあるそうなので、確かにそのほうが話が合います。同時に、そもそもなぜ桃なのか?という疑問も解決されます。

でも、そうなると、今度は、なぜ桃が川を流れてくるパターンが生まれたのか?という疑問が出てきます。やっぱり、柳田説が当たっているところもあるのかも……と思いました。

桃太郎の誕生 (角川ソフィア文庫)

桃太郎の誕生 (角川ソフィア文庫)

  • 作者:柳田 国男
  • 発売日: 2013/08/24
  • メディア: 文庫
 
アマテラスの誕生 (講談社学術文庫)

アマテラスの誕生 (講談社学術文庫)

  • 作者:筑紫 申真
  • 発売日: 2002/05/10
  • メディア: 文庫