陽だまり日記

陽だまり日記

大好きな本や映画のことなど

聖なる植物

前回の続きです。 シュクラが目をケガしたのは、日本語のお話(出典不明)では「わら」となっていますが、スカンダ・プラーナでは「Darbha grass」=ギョウギシバとなっています。 en.wikipedia.org When he obstructed the flow of water at the time of th…

インドの「隻眼の聖者」のお話

国会図書館デジタルコレクション「インド・ペルシャ神話と伝説」(S10、馬場吉信 等編)、「シヴァ物語」の中に、「隻眼の聖者」(p. 366~370)というお話がありました。 dl.ndl.go.jp ある猟師が、山頂で神像に出会って深く信心するようになった。ところが…

物言う牛

予言獣「件」(くだん)に関する続報です。 私は何でこんなに件が好きなんでしょう(笑) 最近のマイブーム『捜神記』をパラパラ見ていたら、「204 牛がものを言えば」が目に留まりました。 捜神記 (東洋文庫0010) 作者:干宝 平凡社 Amazon 中国の晋という国…

片目伝説(10)ヒトツモノ

先日書いた片目伝説(9)の、柳田国男さんに関する、下の部分の続きです。 柳田氏は、片目の神=大昔の生け贄という、ちょっとびっくりするような仮説を提唱しています。時代が下りその意味が忘れられて零落した姿が、妖怪・一つ目小僧だというのです。 この…

「今昔物語集」拾い読み

「今昔物語集」(現代語訳)を拾い読みしていて、本朝部と震旦部に似た話があるのを見つけました。 ・本朝部(日本の説話) 巻第十四 第十三 入道覚念、法華を持して前世を知る語 ・震旦部(中国の説話) 巻第七 第二十 沙弥、法華経を読むに二字を忘れ、つ…

片目伝説(9)ここまでのまとめ

私の郷里には、"昔、神様がある植物で目を突いたのでそれを植えない"という伝説があります。 こんな伝説は日本各地にあることを、日本民俗学の祖・柳田国男氏が、著書「日本の伝説」等で指摘しています。 www.aozora.gr.jp ドイツの日本学者ネリー・ナウマン…

「女人蛇体」

「女人蛇体」という本を少し読んでみました。 女人蛇体―偏愛の江戸怪談史 (角川叢書) 作者:堤 邦彦 角川学芸出版 Amazon 文章が難し過ぎて全部読める気がしない……。ので、拾い読み。 同書によれば、蛇女が出てくる民話・説話は、古い順に、3つに大別されるそ…

昔話「脂とり」のこと

「あぶらとり」について、5年くらい前にここに書きましたが、肝心の昔話「脂とり」の情報が抜けていたのでもう一度まとめます。 この昔話は日本全国各地で伝承されてきたそうで、検索すると幾つか出てきます。「まんが日本昔ばなし」にもなったようですね。 …

インドの牛の説話

「今昔物語集 天竺部」巻第一 第三十四に、「長者の家の牛、仏を供養する語」があります。 今昔物語集 7 天竺部 (東洋文庫 368) 平凡社 Amazon 内容はこちらから読めます。 hon-yak.net 要約すると、強欲な主人に仕える雌牛が、主人の仏に対する酷い態度を見…

中国の化牛説話

中国の化牛説話も見てみたくて、「今昔物語集 震旦部」を探しました。 すると、1つありました。 巻第九 第三十九「震旦の卞士瑜の父、工賃を支払わず、牛となる語」です。 今昔物語集10 (東洋文庫) 平凡社 Amazon タイトルどおり、家を建てさせた大工さんに…

「俗化する宗教表象と明治時代 ~『牛人間』のはなし~」

「俗化する宗教表象と明治時代」の、「『牛人間』のはなし──仏教説話のなかの畜身変成譚と『件』伝承」という部分を読みました。 「日本霊異記」で読んだ、人が牛に変わってしまう仏教説話と、予言獣「件(くだん)」が関係しているのか知りたくて。 俗化す…

「日本霊異記」の亀の放生と浦島伝説

「日本霊異記」(現代語訳)上巻第七「亀を買って助け放し、現世で報いを得て亀に助けられた話」について。 要約すると、 禅師放済という人が仏像を造るため備後国三谷郡から都に上り材料を買った帰り、難波の津で亀が売られていたのを買って放してやります…

「日本霊異記」の牛女

「日本霊異記」(現代語訳)の下巻第二十六に、強欲のため、死んで7日後に上半身が牛となって生き返った人の話がありました。讃岐国美貴郡の、田中真人広虫女(たなかのまひとひろむしめ)という名前の女性です。 百科事典に載っている有名人のようです(↓)…

不殺生の謎

日本の昔話「猿婿」「蛇婿」で、人間の娘を妻に迎えようとした猿や蛇が最後に殺されてしまうのは、仏教的な世界観が流入して、もともとは神様的存在だった動物が、畜生と見なされるようになったからだと説明されますが、 でも、仏教の不殺生はどこ行っちゃっ…

「阿波の狸の話」

「阿波の狸の話」を読んでいたら、しっぽの釣りの話が何回か出てきて驚きました。 阿波の狸の話 (中公文庫) 作者:笠井新也 中央公論新社 Amazon しっぽの釣りは、寒い冬にきつねが川にしっぽを入れて釣りをしようとして、しっぽが凍り付いてしまうというよう…

「輪廻転生」

「輪廻転生」という本に、とても印象的な箇所がありました。 輪廻転生 〈私〉をつなぐ生まれ変わりの物語 (講談社現代新書) 作者:竹倉史人 発売日: 2015/09/25 メディア: Kindle版 生まれ変わりについて、多くの民族が持つ最も古い考え方は、亡くなった人が…

桃太郎のこと

ラジオ「昔話へのご招待」で、かなり前に「桃太郎」が取りあげられたことがあります。桃太郎の解釈の歴史や、外国の昔話との比較など、とても面白くて、特に印象に残っています。 この中で、柳田国男さんの「桃太郎の誕生」についても触れられていました。そ…

「蘇我氏 古代豪族の興亡」

「蘇我氏 古代豪族の興亡」という本をときどき読み返しています。 蘇我氏 ― 古代豪族の興亡 (中公新書) 作者:倉本 一宏 発売日: 2015/12/18 メディア: 新書 蘇我氏は、歴史を習い始めて最初に出てきた"悪役"なので、とても印象深いです。 他の歴史上人物では…

「日本の民俗宗教」

松尾恒一さんの「日本の民俗宗教」を読みました。 日本の民俗宗教 (ちくま新書) 作者:松尾 恒一 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2019/11/06 メディア: 新書 難しかったけど、今まで知らなかったことが分かって面白かったです。 例えば、旧正月と立春の違…

「白夜を旅する人々」のこと

三浦哲郎さんの小説「白夜を旅する人々」を数年前に読んだことを思い出しました。 白夜を旅する人々 (新潮文庫) 作者: 三浦哲郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1989/04/28 メディア: 文庫 クリック: 4回 この商品を含むブログ (8件) を見る アルビノの姉…

「関西弁講義」

関西弁講義という本を読みました。作者さんは関西弁を方言というより1つの独立した言語として研究しているそうです。 関西弁講義 (講談社学術文庫) 作者: 山下好孝 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2013/07/11 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) …

「君が戦争を欲しないならば」

高畑勲さんの「君が戦争を欲しないならば」を読みました。講演の書き起こしで、とても短くすぐに読めます。 君が戦争を欲しないならば (岩波ブックレット) 作者: 高畑勲 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2015/12/04 メディア: 単行本(ソフトカバー) こ…

片目の神様のこと(7)

数えてみたらこのブログで片目の神様のことに触れるのは7回目でした。 柳田国男さんの「日本の伝説」に収録されている片目の蛇の話は、何だか「金枝篇」みたい?と思ったので、片目・一つ目のことを考察している別の本の該当箇所を見てみました。 山の神 作…

「日本の伝説」(片目伝説6)

柳田国男さんの「日本の伝説」は青空文庫で読めます。良い時代になりました。 この中に片目の神様について記述された箇所があります。 久々に読み返して、とても気になる部分を見つけました。取りあえず、忘れないように引用しておこうと思います。 飛騨(ひ…

「アマテラスの誕生」

「アマテラスの誕生」という本を読みました。これはショックでした。 アマテラスの誕生 (講談社学術文庫) 作者: 筑紫申真 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2002/05/10 メディア: 文庫 クリック: 19回 この商品を含むブログ (9件) を見る 作者は代々神主さん…

ハロウィンのこと

ハロウィンが近いので、「ケルト 再生の思想」を少しずつ読んでいます。 ケルト 再生の思想――ハロウィンからの生命循環: ハロウィンからの生命循環 (ちくま新書) 作者: 鶴岡真弓 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2017/10/05 メディア: 新書 この商品を含…

「日本語の源流を求めて」

大野晋さんの「日本語の源流を求めて」を読みました。 日本語が、インド南部のタミル語と関係があるという説です。 専門家の間でも賛否両論とのことで、私も、正直、最初は、インドなんてずいぶん遠いなあと思いました。 でも、読んでみたらとても面白かった…

癒し

眺めているだけで楽しくて、久しぶりに本を衝動買いしてしまいました。 作ってみたら、とても癒されました…! 10号レース針で40番レース糸etc...にビーズを編み込んでいきます。 こういう小さな物たちの、色の組み合わせを考えていると時間を忘れてしまいま…

「きみはいい子」「世界の果てのこどもたち」

中脇初枝さんの「きみはいい子」と「世界の果てのこどもたち」を読みました。 ([な]9-1) きみはいい子 (ポプラ文庫) 作者: 中脇初枝 出版社/メーカー: ポプラ社 発売日: 2014/04/04 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 世界の果てのこどもたち 作者:…

海街diary

大好きな作品です。 中でも、ヒマラヤの鶴のエピソード(4巻)が良かったです。 海街diary 8 恋と巡礼 (フラワーコミックス) 作者: 吉田秋生 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2017/04/10 メディア: コミック この商品を含むブログ (16件) を見る この作品は…