陽だまり日記

陽だまり日記

大好きな本や映画のことなど

「君の名は。」

映画「君の名は。」をやっと観ました。 「君の名は。」Blu-rayスタンダード・エディション 出版社/メーカー: 東宝 発売日: 2017/07/26 メディア: Blu-ray この商品を含むブログ (5件) を見る 若者に大ヒットと聞いて、ついていけるかな…と少し不安でしたが、…

迷宮

小中学生時代をチェコで過ごした米原万里さんは、著書「パンツの面目 ふんどしの沽券」の中で、日本女性の羞恥心は複雑に入り組んでいて、まるで "迷宮" のようだと表現しています。 パンツの面目ふんどしの沽券 (ちくま文庫) 作者: 米原万里 出版社/メーカ…

言語の距離

大好きなラジオ「昔話へのご招待」の今週のゲストは斎藤惇夫さんだそうです。 斎藤惇夫さんの「ガンバとカワウソの冒険」は子供時代に繰り返し読んだ思い出深い一冊です! ガンバとカワウソの冒険 (岩波少年文庫) 作者: 斎藤惇夫,薮内正幸 出版社/メーカー: …

「君はだぁれ?」

「君はだぁれ?」を読みました。イタリアの作家さんの小説です。図書館で偶然見つけて、表紙の絵が可愛らしかったので、思わず手に取りました。 君はだぁれ? 作者: パオラ・マストローコラ,フランコ・マッティキオ,川西麻理 出版社/メーカー: シーライトパブ…

「神、人を喰う - 人身御供の民俗学」

博士論文の書籍化なので、はじめは難しいかな?と思ったけれど、 人身御供や人柱の、研究の歴史が素人にも分かりやすく説明されていて、なんとか最後まで読めました。 神、人を喰う―人身御供の民俗学 作者: 六車由実 出版社/メーカー: 新曜社 発売日: 2003/0…

水神への生贄?(片目伝説5)

*このブログの関連記事 柳田国男氏の「一目小僧」を、再読してみました…1つ、気になったところがあるので下に引用します。 …ただ祭の時、神と人との仲に立って意思の疎通を計った特殊の神主が、農業にとっては一番利害関係の大なる水の神の祭に、比較的ひ…

片目の伝説(4)

*このブログの関連記事 先日、地元の図書館で、ふと民話の本を手にとって開くと、片目の魚のお話が載っていました。 片目の魚の伝説とは… ある池・沼などに住む魚がおかしなことに皆片目だといい、それにまつわるさまざまな因縁が語られます。たとえば、片…

ヒラメちゃんの塩センベの正体?

*このブログ内の関連記事1、2、3 漫画「じゃりン子チエ」に出てくる謎のお菓子、塩せんべい。 東北の「南部せんべい」同様、丸くて、フチにギザギザが付いています。 結局、実物にはまだ遭遇していないのですが…、 私は、これは今でも売られている「ポン…

山裾の闇

青空文庫で、黒島伝治「老夫婦」を読みました。 小豆島で農家を営む老夫婦が、息子夫婦と同居するために、故郷を引き払って東京に移住する短編小説です。 農家の厳しい生活と、夫婦のシビアな現実感覚がとても印象的でした。 私の家も元々は田舎のお百姓さん…

JG フレーザー「旧約聖書のフォークロア」

旧約聖書に書かれているいろいろなエピソードについて、世界中から類話や類例を集めて起源を考察している、と思います。 過越の起源が知りたくて、図書館で借りて、でも情報量に圧倒されて、まだ少ししか読めていないんです。 目次だけでお腹いっぱい…!!で…

蘇民将来

坂口安吾「安吾の新日本地理 01 安吾 伊勢神宮にゆく」(青空文庫) 伊勢は、天孫一族の氏神・伊勢神宮がある土地にもかかわらず、天孫以前の信仰と思われる「蘇民将来子孫」の札を戸口にかけている家が多いそうです。 Wikipediaによれば、蘇民将来の信仰は…

刑事ヴァランダー

刑事ヴァランダー・シリーズは、スウェーデンのミステリー作家、ヘニング・マンケル氏の代表作で、11作品中9作品が邦訳されています。シリーズものですが、事件は1作ずつ完結していて、どこからでも読めます。 邦訳版の最新作は「霜の降りる前に」です。読ん…

油を絞るのは罪?

冥界で罪人が脂を絞られていたけれども、お坊さんが法華経を唱えると、脂絞りの責め苦を許してもらえたというお話が、7世紀の中国の説話にあります。 その背景には、法華経の「油を圧(お)す殃(つみ)」(漢訳)という一節が、絡んでいるようなのですが… …

あぶらとり(2)

中国で7世紀頃成立したとされる「冥報記」に、ある人が、死後、冥界で脂を絞られるけれど、残された家族がお坊さんを呼んで、お坊さんがお経を唱えるとその責め苦が止んだというお話があり(「北齊梁伝」)、日本の「今昔物語集」にも和訳が掲載されています…

あぶらとり(1)

ラジオ「昔話へのご招待」で、私にとって忘れられないお話のひとつに「あぶらとり」があります。 ちょっとこわい、その内容もさることながら、「外国からきたお話かもしれない」という小澤先生のコメントが、印象的でした。私も聞いていて、他の昔話と少し雰…

「昔話の考古学 山姥と縄文の女神」

昔話の考古学―山姥と縄文の女神 (中公新書)作者: 吉田敦彦出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1992/04メディア: 新書 クリック: 1回この商品を含むブログ (3件) を見るラジオ「昔話へのご招待」で、以前、インドネシアのハイヌウェレ神話と、日本の昔話「や…

「若い女はベッドの下に強盗がいるのを見つけたとき、どのように身を守ったか」

学生の頃に、友達の友達の先輩の話だけど…みたいな感じで、 <一人暮らしの女性の部屋のベッドの下に斧を持った男が隠れていた>という話をきいたことがあります。 初めて聞いた時は怖い!!と思いました。 その後TVで都市伝説と分かって二度ビックリしました…

迷信と信仰

初版 金枝篇〈上〉 (ちくま学芸文庫)作者: ジェイムズ・ジョージフレイザー,James George Frazer,吉川信出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2003/01メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 111回この商品を含むブログ (52件) を見る初版金枝篇(下) ちくま学芸文…

「山月記」

中島敦「山月記」(青空文庫)学生の頃、国語の教科書に載っていて、当時はなんとなく読んでいましたが、今また読むと、別の味わいがあります。 同じ作者の「李陵」や「弟子」を読んでみたら、これまで、難しくてよくわからない…と思っていた、中国の歴史を…

「ハーメルンの笛吹き男」

ハーメルンの笛吹き男―伝説とその世界 (ちくま文庫)作者: 阿部謹也出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1988/12/01メディア: 文庫購入: 10人 クリック: 125回この商品を含むブログ (78件) を見る昔、ドイツのハーメルンの住人が、鼠捕り男に約束の報酬を支払わ…

池上さんが解説する仏教の本

池上彰と考える仏教って何ですか?文庫版作者: 池上彰出版社/メーカー: 飛鳥新社発売日: 2014/10/09メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る私が、特別無知なのかもしれませんが…、考えてみると、仏教とのかかわりは不思議です。 家に仏壇があって、…

「告白」

告白 (中公文庫)作者: 町田康出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2008/02メディア: 文庫購入: 12人 クリック: 184回この商品を含むブログ (138件) を見る明治時代に大阪で起きた、"河内十人斬り" 事件が元になった小説です。主人公の城戸熊太郎が、十人を…

倭のこと

日本という国号が使われるようになる前の、"倭" は、九州一帯を指すという意見と、近畿(以東も?)を含むという意見があるようです。先日、近代デジタルライブラリーで偶然見た、こちらの本は、倭=九州としていました。 紀記論究. 建国篇 神武天皇(松岡静…

「国号の由来」

喜田貞吉「国号の由来」(青空文庫) "日本" という国号がいつから始まったのか、その考証です。 80年くらい前に書かれたものですが、とても面白かったです。 卑弥呼の話も出てきます。九州にもヤマト(山門)という地名があり、そこに女性の首長がいたとい…

「平将門」

幸田露伴「平将門」(青空文庫) 平将門は、なんとなく、平安時代に、関東で大暴れした人…?と思っていましたが、幸田露伴氏の「平将門」を読むと、大分イメージが変わりました。将門は早くに親をなくしたので、相続した財産を親族に狙われ、若い時から苦労…

蛭子(ヒルコ)のこと

先週のラジオ「昔話へのご招待」では、南米インカの創世神話が紹介されていました。 このなかに出てきた、骨のない太陽の息子のお話はとても印象深いものでした。少しだけ引用します。 世界の始まりの時、北の方から "コン" という名の人間がやって来た。彼…

小判と死体を結ぶもの

昔話で、大晦日に預かった亡骸が、次の日になって大判小判に変わるというエピソードがあります(「大歳の火」など)。 亡骸が、なぜお金に変わるのか、その理由を、ラジオ「昔話へのご招待」では "古い信仰" によるものと説明していました。聴くたびに、不思…

鬼の伝説(片目伝説3)

若尾五雄氏の「鬼伝説の研究 -金工史の視点から-」によれば、大江山の酒呑童子のような、鬼退治伝説が残っている土地は、周辺に鉱山があったり、鋳物師がいたりする場合が、多いのだそうです。そして、その土地では、鬼(鉱夫、鋳物師など)は嫌われる対象で…

片目伝説(2)

*このブログの関連記事 片目の神さま(植物禁忌)や、片目の魚の伝説が、鍛冶の神さま&鉱毒に関係しているなら、"特定の魚(鰻など)を食べない" という言い伝えは、どうなのかな?と思って、試しに、目についた例を調べてみました。すると、言い伝えその…

片目伝説(1)

*このブログの関連記事 片目伝説は日本全国にあり、片目の "魚" が出てくるものと、片目の "神さま" が登場するものに大別されます。柳田国男「日本の伝説(青空文庫)」にも沢山収録されています。片目の魚の伝説は、ある池・沼などに住む魚がおかしなこと…