陽だまり日記

陽だまり日記

大好きな本や映画のことなど

「天国への300マイル」(1989、ポーランド/デンマーク/フランス)

20年ほど前に、深夜放送されていたものを偶然見ました。残念ながら、日本ではDVDが発売されていません…。

民主化される前のポーランドから、ティーンエイジャーの兄弟が両親と離れ、西側へ脱出しようとする物語です。1985年に実際にあった出来事が元になっています。

この時代、ポーランドでは一部の権力者が不当な搾取を繰り返し、市民の生活はどれだけ働いても一向に改善しません。社会全体が荒廃していて、風景にもあまり色がありません。大人達は抵抗する気力をすっかりなくし、諦めきっています。社会に適応できず病んでしまう者も出てきます。
身動きのとれない大人達と対照的に、子供達の考え方はシンプルです。そんな母国は捨ててしまうことにしたのです。

主人公は14歳のイェンドレクと、その弟で12歳のグジェゴシュです。彼らと、イェンドレクの同級生エルカを中心にストーリーが進んでいきます。3人とも、ションボリしているばかりの大人達と対照的に、生意気盛りで生命力にあふれていて、とても可愛らしいです。

子供達が長距離トラックの車体の下に隠れているときの緊迫感と、ついにトラックを降りた時の安堵感が、印象的で忘れられません。

外国語版は、youtube等で見ることが出来るようです。
ポーランド語の原題は、"300 mil do nieba" です。