陽だまり日記

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大好きな本や映画のことなど

ヒラメちゃんの塩センベのこと(1)

チエちゃんのクラスメイト、ヒラメちゃんといえば、塩センベが好物です。
ヒラメちゃんの塩センベは、絵柄では、白っぽくて丸くて、周りにギザギザした部分があるのが特徴です。
私はこれを見たことも食べたこともなくて、一体どんな味なんだろう?と、長年疑問に思っています。
(勿論、作者が創作した架空のお菓子という可能性もありますが、ここでは、とりあえず塩センベが実在していたと仮定します。)

最近アニメを見直していて、やっぱり気になったので、今回はインターネットで調べてみました。すると、塩センベの正体が気になっている人は他にもいるようで、候補として次の2種類が挙げられていました。
候補1】
大阪の「満月ポン」に代表される「ポンせんべい」。大阪に昔からあるメジャーな駄菓子で、しかも、かつて「塩せんべい」の名前でも知られていたそうです(因みに沖縄では今でも類似品が「塩せんべい」という名前で売られています)。でも、ポンせんべいは一様に真ん丸な形をしていて、ヒラメちゃんの塩センベについている大事な「ギザギザ部分」がありません。
候補2】
岩手・青森の「南部せんべい」に代表される、ギザギザの「耳」を持った、ヒラメちゃんの塩センベときわめてよく似た形のお煎餅。南部せんべいは種類がいろいろありますが、「白せんべい」や「おつゆせんべい(別名かやきせんべい)」は、色といい形といい、ヒラメちゃんの塩センベに瓜二つです。また、能登には「塩せんべい」という名前の類似品があります。

地域性から考えると、【候補1】(ポンせんべい)が有利ですが、見た目から考えると【候補2】(南部せんべい or 能登の塩せんべい)が有力です。

もしかして、ポンせんべいにも昔は「耳」がついていて、その後、機械の改良で真ん丸になったのかな…?とも、思いました。ところが製法を見ると、ポンせんべいと、南部せんべいのような「耳」のついたお煎餅は、作り方が異なっていて、食べたときの歯ごたえも違う、全くの "別モノ" ということが分かりました。
なので、ヒラメちゃんの塩センベは、やはりあの見た目どおり、南部せんべいに近い食べ物だったのではないかな…と、思います。
そして、少なくとも昭和30〜40年代頃に「南部せんべい」型の、耳つき固めの「塩せんべい」が大阪でも売られていたということを、ヒラメちゃんの塩センベは示しているのかもしれません。

◎ポンせんべいの特徴◎

  • 食感:サクサク
  • 製法:焼くときに材料を型の中に密封し、圧力をかけて空気を含ませる。(材料を密封するので、南部せんべいなどのように大きくはみ出した部分…「耳」はできない。)

南部せんべいの特徴◎

  • 食感:バリバリ、ショリショリ
  • 製法:焼くときに材料を2枚の鉄板で挟むが、周囲がはみ出して「耳」ができる。(型は密閉性がなく、圧力が十分かからないので、空気を含ませることはできない。)

ところで、お煎餅は米粉が原料になっているものと、小麦粉が原料になっているものがあります。前者は焼く前に型で抜くなどして成型するのに対し、後者は型に入れて成型しながら焼くようです。ポンせんべいや南部せんべいは小麦粉でできています。南部せんべいにソックリのヒラメちゃんの塩センベも、小麦粉が原料になっていることは、ほぼ間違いなさそうです。
それから、米粉の「塩煎餅」は戦前から東京付近で盛んに生産されていて、大阪の人にも東京土産として人気があったみたいです。名前は塩煎餅でも、味付けは醤油で、草加せんべいみたいな食べ物だったようです。これが粉モン文化の大阪で独自の進化を遂げたのが、ポンせんべいや、ヒラメちゃんの塩センベだったのでしょうか?謎は尽きません…。