陽だまり日記

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大好きな本や映画のことなど

「日本霊異記」の亀の放生と浦島伝説

日本霊異記」(現代語訳)上巻第七「亀を買って助け放し、現世で報いを得て亀に助けられた話」について。

要約すると、

禅師放済という人が仏像を造るため備後国三谷郡から都に上り材料を買った帰り、難波の津で亀が売られていたのを買って放してやります。その後、舟で備後に戻ろうとしますが、途中、欲心を起こした船頭に海に落とされます。そのとき亀が背中に乗せてくれて、無事浜に下ろしてくれたというお話。

 

浦島太郎の最初の部分に似ています。

 

日本霊異記」では、この亀のように、人や蛇などにつかまっていたのを放してやったら恩返しをしてくれたというお話が幾つかありました。

仏教の放生という考え方だそうです。

ja.wikipedia.org

 

浦島太郎が亀を助けて竜宮城につれていってもらうストーリーも、仏教的な考え方が入っていたということでしょうか。

 

もう少し詳しく知りたくなって、国会図書館デジタルライブラリーを見たら、浦島伝説の由来はよく研究されているようでした。

dl.ndl.go.jp

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上記によれば、浦島伝説は「万葉集」「丹後風土記」「日本書紀」に記録されたものが最古で、これらは亀の放生・恩返しエピソードを含みません。浦島子が釣りに出掛けて海神の姫君、あるいは姫が変化した亀に出会い、海神の宮や蓬莱山に行くというお話。

 

古くは江戸時代に、曲亭馬琴が「燕石雑志」の中で、中国の「捜神後記」との類似性を指摘しているということです。

ja.wikipedia.org

 

大正・昭和の上記2考証は、いずれも、馬琴の説を退けて、南方の影響がより強いと結論づけていました。

万葉集の文化史的研究」によれば、トーテム時代にできた人間と亀姫の結婚話で、楽土を求める古代欲求の表れでもある。

「浦島と羽衣」では、海洋民族の漂流譚に、上代人の空想的欲求心理が結び付いたものとまとめられていました。

なるほど!