陽だまり日記

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大好きな本や映画のことなど

「風の歌を聴け」、「1973年のピンボール」

風の歌を聴け (講談社文庫)

風の歌を聴け (講談社文庫)

村上春樹氏の処女作「風の歌を聴け」の読書メモです。

  • 小指のない女の子…鼠の彼女。妊娠した女の子。双子。お父さんが、脳腫瘍で亡くなって、家族解散。職業人。街在住。
  • 鼠…お金持ち。大学生(後に中退)。街在住。
  • 自殺した女の子…僕の三番目の彼女。妊娠した(かもしれない)女の子。東京の大学の仏文科の学生。
  • 僕…大学生。東京在住。

こうして見ると、「ノルウェイの森」、「色彩を持たない多崎つくる…」との共通項が沢山あります。
僕と鼠は、同一人物説もありますが、私には、別人に思えました。歌手や芸人さんのコンビみたいな感じがします。

1973年のピンボール (講談社文庫)

1973年のピンボール (講談社文庫)

第2作「1973年のピンボール」は、なんとなく、鼠が亡くなってしまった話だと思いました。ピンボールは鼠の好きだったゲームだし(直子は「ノルウェイの森」が好きだったのと似ています)、水葬、霊園なども、それを伺わせます。ラストで旅に出たのは、「風の歌を聴け」と整合性をとるためだったと思います。

その場合、「風の歌を聴け」の時点で鼠は死んでいたことになります。32章の『火星の井戸』のエピソードは、それを直接示唆する部分かもしれません。この章は、小説のタイトルとも連動しています。と、なると、「風の歌を聴け」は、鼠の死因を探る小説だったのでしょうか。そこに、鼠と女の子、僕と女の子の妊娠問題が出てくるのは、どういうことなのでしょう。ややこしくなってきました(笑)。