陽だまり日記

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大好きな本や映画のことなど

「ワニの黄色い目」

ワニの黄色い目(上)

ワニの黄色い目(上)

ワニの黄色い目(下)

ワニの黄色い目(下)

カトリーヌ・パンコール作「ワニの黄色い目」を読みました。なんとなく気になっていながら、長いので躊躇していましたが、読み始めるとあっという間でした。
主人公のジョゼフィーヌジョー)は中世の研究家で、地味で控え目な女性。夫アントワーヌの失業を機に夫婦関係がギクシャクし始め、ついに別居することに。ジョーは思春期の娘2人を抱えて金策に右往左往しているうちに、ひょんなことから姉イリスの小説のゴーストライターをする破目に…というストーリーです。
夫の浮気、借金の肩代わり、母親と娘の確執など深刻なエピソードが多いです。でも、フランスならでは(?)の少し皮肉のきいたユーモアが散りばめられているうえ、主人公がドラマティックに成功していくので、楽しく読めます。面白いTVドラマのようでもありますし、子供の頃に読んだ少女小説を思い出すような感じもありました。
キャラクターのちょっとしたモノローグも印象的でした。中でも心に残ったのは "人生" とワルツを踊る、 "人生" において行かれる、など人生を擬人化した表現です。自分は人生とどう付き合っているのかな…とつい考えずにはいられませんでした。