陽だまり日記

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大好きな本や映画のことなど

聖なる植物

前回の続きです。

シュクラが目をケガしたのは、日本語のお話(出典不明)では「わら」となっていますが、スカンダ・プラーナでは「Darbha grass」=ギョウギシバとなっています。

en.wikipedia.org

    When he obstructed the flow of water at the time of the gift of the earth by Bali (to Vamana), Bhargava (i.e. Sukra) lost his eye on being pricked with the tip of the Darbha grass held in his hand by Vishnu (i.e. Vamana). He went to Sonacala and performed a very difficult penance. With his soul purified, he regained his eye.
    —  Skanda Puran (Unknown translator, 1951), Part 3 (Purvardha), Chapter 6, Verses 51b-53(上記Wikipediaより引用)

 

ja.wikipedia.org

一見地味な雑草という感じですが、ヒンドゥー教の儀式には欠かせない聖なる草で、ガネーシャには特に神聖、また、ヴィシュヌもこの草を好むのだとか。だから、ヴィシュヌのアバターであるヴァーマナがギョウギシバを使ったんですね!ちゃんと理由があったわけです。

 

この聖なる草の起源について、ヒンドゥーの神話はさまざまな説を説いている。(中略)マンダラ山は亀の姿に変身したヴィシュヌ神の上で回転され、そのときヴィシュヌの体毛がこすれてちぎれ、その体毛が波によって岸に打ち寄せられて地に根を下ろし、ドゥールヴァdurva、すなわちギョウギシバになったのだという。(T.C.マジュプリア「ネパール・インドの聖なる植物」より引用)

 

 

昔の人の想像力は凄い……。

 

上に引用した本には100種類以上の"聖なる"植物が紹介されていて、その中には竹やキュウリ、カボチャ、ダイコン、サトイモ、ゴマなど日本でも身近なものが幾つかありました。

スーパーに行けばいつでも食べ物があり、薬局に行けば薬が買えるような生活をしていると、そのありがたみに鈍感になってしまいますが、本来は、一つ一つの植物に神様が宿っていると考えるほど、大事にされてきたんだなぁと実感しました。

日本の栽培禁忌も、詳しい経緯はよく分かりませんが、そういう植物を大事にする気持ちの延長線上に生まれた風習なのかなと思いました。