陽だまり日記

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大好きな本や映画のことなど

インドの牛の説話

今昔物語集 天竺部」巻第一 第三十四に、「長者の家の牛、仏を供養する語」があります。

 

内容はこちらから読めます。

hon-yak.net

要約すると、強欲な主人に仕える雌牛が、主人の仏に対する酷い態度を見かねて、自分の乳を供養し、仏に、「この牛は天上界に生まれ変わるだろう」と言われるというストーリー。残念ながらもともとの出典は分かりません。

 

一方、中国や日本の化牛説話は、生前強欲だった人が、死後牛に転生し、こき使われるというもの。

 

全く違うようで、少し似ているような、不思議な感じがします。

 

「ジャータカ」の黒牛のお話(↓)も、少しだけ似ているような、全然違うような、不思議な感じです。

jodo.or.jpお釈迦様の前世の姿である黒牛が、おばあさんに大層可愛がられて育ち、何とか恩返しをしたいと思い、体に無理な負担をかけて大金を稼いだというお話。「ジャータカ」は、こうして善行を積んだので、お釈迦様となって生まれることができたという説話集なのだとか。

 

日本・中国の化牛説話は、「強欲だったので牛になってしまった」という悲しいお話でしたが、これらのインドのお話は、「施しをしたので牛の体から逃れられた」とハッピーエンドになっているのが面白いと思いました。