陽だまり日記

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大好きな本や映画のことなど

不殺生の謎

日本の昔話「猿婿」「蛇婿」で、人間の娘を妻に迎えようとした猿や蛇が最後に殺されてしまうのは、仏教的な世界観が流入して、もともとは神様的存在だった動物が、畜生と見なされるようになったからだと説明されますが、

でも、仏教の不殺生はどこ行っちゃったの?と、個人的に引っ掛かっていました。

 

最近「日本霊異記」(現代語訳)を読んでいたら、面白いお話を見つけました。

 

 

ある女が、蟹が人につかまっているのを助けます。また、蛇が蛙を呑んでいたので、「蛙を放してあげてほしい、その代わり妻になるから」と言います。蛇は蛙を放して、約束の晩に婿として女の家にやってきますが、そこに助けた蟹が現れ、蛇をずたずたに切り刻んで恩返しをするというお話。

中巻の第八、第十二にあり、「今昔物語集」などにも収載されているそうです。

 

蟹や蛙などの比較的弱い動物と、そうでなく、もともと神様で人間の娘を妻にしようとするような(動物ばなれした?)蛇は、仏教的世界観では同じ動物とは見なされず、区別されているのかな……と思いました。